尿路感染症
尿路感染症とは
尿の通り道に細菌が感染し、炎症が起こるものを尿路感染症といいます。
下部尿路感染症は膀胱炎で、上部尿路感染症は腎盂腎炎(じんうじんえん)と分けられます。そのほかにも尿道炎や前立腺炎と炎症を起こす場所によって分類されています。
尿路感染症は急に発病して症状が強い急性単純性尿路感染症と、徐々に発病して症状はそれほど強くない慢性複雑性尿路感染症にも分けられます。
急性単純性尿路感染症の原因の80%は大腸菌で、残る20%は尿の出口付近に常に住みついている細菌によって起こります。
慢性複雑性尿路感染症の原因では大腸菌が30%と多いのですが、急性単純性尿路感染症ほど多くはなく、残りの70%は弱い細菌によるものといわれています。
尿路感染症の症状
症状は感染場所により異なります。
膀胱炎
排尿痛、残尿感、頻尿、尿混濁がみられ発熱はありません。炎症がひどい場合には血尿がみられることもあります。
腎盂腎炎
悪寒や震えを伴う38度以上の高熱、腎臓の部分の痛み、腰の鈍い痛み、尿に膿が混じるなどがみられます。
尿道炎
急性の場合は尿道に灼熱感があり、尿道口から膿がでることがあります。慢性では自覚症状に乏しく気づかないと尿道が狭くなる尿道狭窄を起こします。
尿路感染症の原因
尿路感染症は、そのほぼすべてが細菌によるものですが、ウイルス、真菌が原因になる場合もあります。尿路感染症の85%以上は、腸または腟から移動してきた細菌によって引き起こされます。
細菌の中では、大腸菌が尿路感染症の最も多い原因菌で、女性の尿道は男性の尿道より短いため細菌による尿路感染症が男性の約50倍多くみられます。
ウイルスでは、単純ヘルペスウイルスが尿道に感染して症状を引き起こすことがあります。単純ヘルペスウイルス以外では通常は起こりません。
真菌は、免疫力が低下した人や膀胱にカテーテルが留置されている人に一部の 真菌(カンジダ属)が尿路に感染することがあります。
尿路感染症の診断基準
尿検査にて途中からの尿(中間尿)を検査用のコップに入れ細菌や白血球が存在しないかを調べます。
尿路感染症の治療法
膀胱炎
抗菌薬を用いて細菌を洗い流す目的で、水分を多めに摂取するよう指導します。
腎盂腎炎
感染した細菌にあう抗菌薬を服用し安静にします。症状が強い場合には入院をしていただき点滴の抗菌薬を投与します。
尿道炎
薬物療法が中心となり、抗菌薬を一定期間服用します。
※どの疾患も薬は必ず飲み切り、途中でやめないようにしましょう。途中でやめてしまうと細菌が生き残り再発の恐れがあります。