膀胱がん
膀胱がんとは
膀胱は、腎臓で作られた尿を溜める筋肉の袋です。男性では恥骨と直腸の間、女性では恥骨と子宮、腟の間にあります。
膀胱の内側にある尿路上皮という粘膜から発生し、膀胱がんで最も多くみられるのが尿路上皮がんです。男性は女性の3倍、喫煙者は非喫煙者の2~3倍の発生率といわれています。
また、がんの深達度により筋層非浸潤性がんと筋層浸潤性がんに分類されます。
●筋層非浸潤がん…膀胱内腔へ突出して大きくなっていきます。
●筋層浸潤がん…膀胱内腔へ突出するだけでなく膀胱壁の中へ浸潤していき、膀胱壁内のリンパ管や血管などの脈管へ入り込みリンパ流や血流に乗って、近くのリンパ節や遠くの肺・肝臓など他臓器に転移を起こします。
膀胱がんの症状
主な症状には、無症候性肉眼的血尿が挙げられます。血尿の際には痛みを伴わないため放置する方も多く注意が必要です。
そのほかには頻尿、排尿時の痛み、尿が残る感じ、切迫した尿意などがあります。がんが進行するとわき腹や腰、背中の痛みがあります。
膀胱がんの原因
膀胱がんの原因ははっきりとは解明されていません。
しかし、喫煙者は、非喫煙者の2~3倍の割合で膀胱がんになりやすいといわれています。また、非喫煙者でもコーヒーを1日1杯以上飲む人はほとんど飲まない人に比べ約1.5倍と高い傾向にありました。(男性の場合)
膀胱がんの診断基準
膀胱がんはさまざまな検査を用いて診断をします。
尿検査
血尿や尿中がん細胞の有無を調べます。また、尿中の腫瘍マーカーの有無も確認します。
超音波検査
がんの位置や形、臓器の形や状態、周辺の臓器との関係、腫瘍の有無を確認します。
内視鏡検査
肉眼的に腫瘍の有無を確認できます。そのためがんの場所、大きさ、数、形などを確認し治療方針の決定をするために必要になります。
CT検査
がんの存在や広がりを見たり、リンパ節やほかの臓器への転移、膀胱がんの部位や腎盂尿管がんの併発の有無も確認します。
MRI検査
CTと同じく目的部位をより詳しく検査するために行います。がんと正常組織を区別することができます。
骨シンチグラフィ
放射性物質を静脈から注射し、骨への転移の有無を調べます。
膀胱がんの治療法
がんの治療はがんの進行の程度や体の状態などで決定します。
- 深達度:がんがどのくらい深くまで及んでいるかを示し、Ta~T4bに分類され、数字が大きくなるほど深くまで及んでいることを表します。
- ステージ:早期から進行するにつれて0期~Ⅳ期まであります。こちらも数字が大きくなるほど進行していることを表します。
筋層非浸潤性膀胱がん(0期・Ⅰ期)の治療
膀胱の中に抗がん薬を入する膀胱内注入療法を行います。
筋層浸潤性膀胱がん(Ⅱ期・Ⅲ期・Ⅳ期)の治療
転移がない場合は膀胱全摘除術です。転移があるなどがんが進行している場合には、薬物療法などを検討します。
膀胱内注入療法
筋層非浸潤性膀胱がんの再発や進展を予防する目的で用いられます。また、上皮内がんの場合は、治療を目的として注入します。
手術療法
さまざまな手術療法がありますが代表的なものを紹介します。
経尿道的膀胱腫瘍切除術
非筋層浸潤がんで用いられ、尿道から膀胱内に内視鏡を挿入し、がんを電気メスで切除する治療法です。しかし、再発することもまれではないため術後も定期的に膀胱鏡で再発がないか定期的に検査が必要です。
膀胱全摘術
男性では膀胱、前立腺、精のう、遠位尿管と骨盤内のリンパ節を、女性では、膀胱、子宮、腟の一部、遠位尿管、尿道、骨盤内のリンパ節を摘出します。膀胱を全摘出するため同時に下腹部にストマという尿の出口を造設し、術後はそこに袋(パウチ)を貼って生活する必要があります。