各種がん
各種がんとは
がんとは遺伝子の突然変異によって生まれる死なない細胞のことで、心疾患、脳血管疾患とならび、日本人の死因の上位を占める三大疾病のひとつです。
いつ・どの部位にがんが発生するかは人によって異なります。正常な細胞には寿命があり、細胞分裂によって増え続けることはありませんが、正常な細胞が傷ついて異常な細胞となり、これらが無秩序に増え続けてがんが発生します。この傷のことを遺伝子の「変異」といいます。
がんは腫瘍とよばれることもあり、大きく悪性腫瘍と良性腫瘍に分けられます。
悪性腫瘍:増殖を続けて体の中に広がっていく腫瘍のことで、浸潤や転移する腫瘍を指し治療が必要です。
良性腫瘍:浸潤や転移をすることがなく、周りの組織を押しのけるように増えるため必要時のみ手術をし、手術で完全に取りきれば多くの場合、再発はしません。
各種がんの症状
症状は部位により異なりますが全身に起こる症状としては、脱毛、皮膚と爪のトラブル、痛み、しびれ、だるさ・倦怠感、発熱、感染しやすい、白血球減少、出血しやすい、血小板減少、貧血、眠れない・不眠などがあります。部位別は下記です。
肺がん
治りにくい咳、胸痛、呼吸時のゼーゼー音、息切れ、血痰、声枯れなど
乳がん
しこり、皮膚の近くにあると、えくぼのようなくぼみができたり、皮膚が赤く腫れるなど
肝臓がん
腹部のしこりや圧迫感、痛み、おなかが張る感じなど
胃がん
みぞおちの痛み、胸焼け、黒い色の便など
食道がん
食道がしみる・つかえる感じ、胸痛・背部痛、咳など
すい臓がん
腹痛・背部痛、食欲不振、体重減少など
大腸がん
血便、下血、下痢と便秘の繰り返し、便が細い、便が残る感じ、おなかが張る、腹痛、貧血など
卵巣がん
下腹部にしこり、圧迫感がある、膀胱が圧迫され尿が近くなるなど
子宮頸がん
月経でない時の出血、性行為の際の出血や普段と違うおりものなど
子宮体がん
月経とは無関係の出血、おりもの、排尿痛または排尿困難、性交時痛、骨盤領域の痛みなど
前立腺がん
排尿困難、頻尿、残尿感、夜間多尿、尿意切迫、下腹部不快感など
各種がんの原因
原因として、化学物質などの外的要因、食事・喫煙などの生活習慣、仕事や生活におけるストレスなどの心理的要因が挙げられます。
化学物質
ある種の職業や職業的に多く暴露し、発がん性があると分類された化学物質は120種類もあります。
食事
牛・豚・羊などの赤肉や加工肉は大腸がんのリスクを上げるとされていますが確実にがんのリスクになるとされている食品は少ないです。
喫煙
肺がんをはじめとするさまざまながんの原因となります。
飲酒
飲酒により体内に取り込まれたエタノールは、発がん性が示されているアセトアルデヒドに代謝されるため、がんの原因になると考えられています。
肥満
肥満に伴ってインスリンが十分に働かなくなり、インスリンが過剰に分泌されたり、細胞の増殖・分化を促進するインスリン様増殖因子が持続的に増加したりすることががんのリスクを上げるといわれています。
各種がんの診断基準
X線検査
がんの有無や形を確認するために行います。
CT検査
5~15分程度の検査時間で、広範囲な画像を細かく撮影することができ、治療前にがんの有無や広がり、他の臓器への転移の有無、治療の効果の判定、治療後の再発がないかを確認します。
MRI検査
病気の部分と正常な組織とを区別しやすく、CT・PET検査と同じ目的で行われます。
PET検査
1度にほぼ全身の撮影ができ、CT・MRI検査と同じ目的で行われます。
超音波検査
がんのある場所や、がんの形・大きさ、がんの周辺の臓器との関係などを確認します。
腫瘍マーカー検査
がんの診断の補助や、診断後の経過や治療の効果をみることを目的に行います。
各種がんの治療法
がんの種類や症状の進行度によって異なり、その方法は多岐にわたります。 主な治療方法は、手術・放射線治療・抗がん剤治療・免疫療法の4つです。
手術
臓器にできたがんを切除します。がんをすべて切除することができれば完治が期待できますが、がん細胞が切除した部分以外にも残っていると再発する可能性が残ります。
放射線治療
臓器にできたがんやまわりのリンパ腺などに放射線をかけます。特定の範囲にのみ影響を与え、がん細胞の増殖を防ぎ、細胞を殺して治療します。
抗がん剤治療
がんの治療に効果のある化学物質を点滴や飲み薬で投与します。全身に転移がある場合に効果的です。
免疫療法
免疫とは、私たちが生まれながらに備えている能力です。免疫療法は人が持つ免疫能力を高めることでがん細胞を排除します。代表的な免疫療法の薬としてニボルマブという免疫チェックポイント阻害剤があります。こちらも全身に転移がある場合に効果的です。