前立腺肥大
前立腺肥大とは
文字通り前立腺がだんだんと大きくなりさまざまな排尿の症状を引き起こす病気です。
55歳以上の男性5人に1人がかかっているといわれています。通常の前立腺の大きさは体積で表した場合には20ml以下といわれており、クルミ大くらいともいわれます。
前立腺は直腸と恥骨の間にあり尿道の周りをぐるりと囲んでいるため、肥大すると排尿に関わるいろいろな症状が表れます。
前立腺肥大の症状
代表的な症状は、頻尿、尿が出にくい、残尿感などです。排尿症状、蓄尿症状、排尿後症状に分けられ、また1期~3期でも分けられます。
第一期(膀胱刺激期)
トイレに行く回数の増加、尿の勢いが弱くなる、トイレに行ってもまたすぐに行きたくなる
第二期(残尿発生期)
排尿をする時に力まないと出ない、尿が出るまでに時間がかかる、尿の切れが悪くなった、途中で尿が途切れてしまう
第三期(慢性閉塞期)
トイレに行く回数が非常に増えた、1回にかかる時間が長く(数分)なった これらからさらに症状が進むと尿が出なくなります。
前立腺肥大の原因
前立腺が肥大する原因はまだはっきりとは解明されていません。 しかし、老化や男性ホルモンが関係しているといわれています。
前立腺肥大の治療法
薬物治療、手術治療があります。
薬物療法
比較的軽症の場合に行われます。
α1遮断薬
緊張している前立腺や尿道の筋肉を緩め、尿道の圧迫を解除して、尿が通りやすくします。
ホスホジエステラーゼ5阻害薬
前立腺や膀胱の出口の平滑筋を弛緩させて、尿を通りやすくする作用があります。
抗男性ホルモン薬
前立腺を小さくして、前立腺肥大による尿道の圧迫を軽減します。効果が表れるまでに数ヶ月かかります。
漢方薬・植物製剤
α1遮断薬よりは効果が劣りますが副作用が少ないというメリットがあり、α1遮断薬と一緒に使われることが多いです。
外科的療法
症状が進み、薬では効果が期待できなかった場合に必要になります。
経尿道的前立腺切除術(TUR-P)
尿道より内視鏡を挿入し先端についているループ状の電気メスで肥大した前立腺を内側から削り取る手術です。少しずつ切除してカテーテルという管を尿道に入れて洗浄して手術を終えます。手術の時間は前立腺の大きさにもよりますが1時間程度で、1週間程度で退院できます。
経尿道的前立腺レーザー核出術(HoLEP)
尿道から内視鏡を前立腺の内側(内腺)と外側(外腺)の境目に挿入して行います。肥大した前立腺の内腺と外腺の間を剥離して吸引しながら摘出します。こちらの方法は切開と凝固が同時にできるため少ない出血で行うことができます。