胃・十二指腸潰瘍
胃・十二指腸潰瘍とは
胃・十二指腸潰瘍とは、胃液という強い酸の刺激によって、皮膚や粘膜の一部が深く傷つき内部からえぐられた状態をいいます。
胃潰瘍に比べて十二指腸潰瘍は若年層(20~40歳)に多く発症しやすい傾向にあります。十二指腸の壁は胃壁に比べて筋層が薄いので深く進行し、出血、穿孔(せんこう)を起こしやすい傾向があります。
消化性潰瘍は、日本で100万人以上いるといわれ、大変再発しやすい病気です。
ヘリコバクター・ピロリ菌を除菌することで再発をある程度防止できるようになりましたが、除菌できない人や除菌できても再発する人がいるため、食事や禁煙を含め生活習慣の見直しや一人ひとりにあった治療が必要です。
胃・十二指腸潰瘍の症状
胸やけ、吐血・下血、最も多くみられるのは腹痛やみぞおちの痛みです。
腹痛やみぞおちの痛みは、空腹時に起こることが多いため食べ物を食べると症状が緩和します。
胃潰瘍の場合は、食事中から食後に起こることが多く、十二指腸潰瘍の場合は、特に早期に痛むことが多いです。
潰瘍が進行すると、出血や穿孔を伴い吐血や黒色便がみられます。
胃・十二指腸潰瘍の原因
粘膜による防御の働きと胃酸による攻撃とのバランスが崩れることで発症し、ストレス、過労、喫煙、飲酒、香辛料、熱すぎる・冷たすぎる食べ物、消化の悪いものなども関係しています。また、最近ではヘリコバクターピロリ菌が深く関わっていることが明らかになっています。
胃・十二指腸潰瘍でのヘリコバクター・ピロリ菌の感染率は90%以上ともいわれており、ストレスや遺伝的要因が関連して発症するといわれています。
胃・十二指腸潰瘍の診断基準
X線検査
バリウムによる胃透視や圧迫撮影を行い、変形を見つけます。
内視鏡検査
X線では不可能な活動性の判定ができます。胃カメラにより、潰瘍の部分に出血や浮腫、腫れを見つけることができます。また、治癒期には、潰瘍が浅く小さくなりつつあり、特に潰瘍にみられる白苔が小さくなった様子などが見られます。
胃・十二指腸潰瘍の治療法
治療の多くは薬物療法を中心に行われています。
薬物療法
基本的に胃酸分泌を抑制する薬剤により治療します。そのほかにも神経に働きかけて、胃酸の分泌命令を出さないようにする薬や粘膜を保護する薬、粘液の分泌を増やす薬なども処方されます。6週間の治療で80%以上が治りますが、そのあと約1年間の薬の継続服用が必要です。
潰瘍が再発をくり返す場合や治りにくい場合は、ヘリコバクターピロリ菌が関係していることが多いため薬を服用して、ピロリ菌の除菌を行います。
手術療法
危険な合併症や出血が見られた場合は手術療法を行います。現在は内視鏡による止血治療で開腹手術をせず治療が可能になっています。